外国人の人事労務管理

就労ビザによって異なる労務管理

外国人雇用と一言でいっても職種やビザ(在留資格)によって正社員雇用、期限付雇用、アルバイト雇用まで労務管理のスタイルは異なります。外国人を雇用するためには下記ビザによって大まかに4つに分類されます。 

  1. 高度専門職、技術・人文知識・国際業務ビザ  
  2. 外国人技能実習生
  3. 特定技能ビザ
  4. 留学ビザの資格外活動許可

 

1. の高度専門職、技術・人文知識・国際業務ビザの外国人は、日本人の正社員と同等以上の待遇で雇用されています。ITエンジニア、技術者、通訳、海外営業部員は当該ビザの発給を受けています。技能実習生を除く就労系在留資格取得者のうち75%が「技術・人文知識・国際業務」です。優秀な人材が多いのは当該ビザの外国人で社内の多様性とイノベーションをもたらすことを期待されています。これらの外国人を社員として雇用する場合、日本国内の大学の留学生(新卒者)又は既に当該ビザを取得しいる外国人(転職者)に関する採用ルートと、海外の大学の卒業生(新卒者)又は卒業後そのまま海外で勤務している外国人(転職者)に関する採用ルートは大きく異なります。特に後者については難易度が高いため、採用を希望する企業が単独で行うことは簡単ではありません。しかし、これらを実現させた場合には、海外において人的資源の確保に成功したことになります。

2. の外国人技能実習生は日本の技術を学び母国の発展に貢献するために作られた制度です。海外の送り出し機関に手数料を支払い日本の管理団体を通じて企業にやってきます。管理団体のサポートがあるので受け入れ企業に採用力がない場合でも雇用することができます。あくまで実習であるため実習生には転職の自由が認められていません。また原則として就労から3年(5年)で帰国することになっています。※2019年4月から技能実習生が特定技能へ移行できることが認められています。

3. の特定技能ビザは2019年4月からスタートした新しいビザで14業種が対象となっています。建設業、宿泊業、飲食業など人手不足が著しい産業の支援策として作られています。このビザで働く労働者は同業種に限って転職の自由が認められています。また就労から5年後に試験を受け合格すると家族滞在が認められています。この点は2.の外国人技能実習生とは大きく異なります。受入れ企業は体制を整えて独自に雇用することの他、登録支援機関のサポートを得ながら雇用することもできます。⇒登録支援機関のサポートについてはこちら。

4. の留学生は本来就労することは認められていませんが、特別に許可(資格外活動許可)を得ることによって働くことができます。職種に制限がないため飲食店や工場ではアルバイト員として重宝されています。なお、就業時間には制限があるため企業は週28時間を超えて就労させることはできません。また、留学期間が終了すると在留資格を失うためその後も継続してアルバイト雇用をすることはできません。※飲食店等では、アルバイトをしている留学生が特定技能ビザを取得することによって継続雇用ができるようになります。この場合には、日本人社員と同等以上の賃金を支払うことが必要にないります(アルバイト待遇ではない)。

この様に企業が雇用する外国人のビザや職種によって人事労務・雇用管理は大きく異なります。また文化的背景が異なることへの配慮も必要になります。個々のケースに対応することが必要になるため一概に正しい外国人の労務管理について説明することは困難です。しかし、外国人だけでなく日本人にとっても、働く人が働きやすい環境であることが必要になるのは間違いないでしょう。

 

外国人雇用のメリットとデメリット

メリット
1.新たな労働力を確保できる
2.日本人社員と異なる知識、経験、価値観により新しい発想・創造性が高まる
3.海外進出をする場合、時間とコストを削減できる

4.刺激を受けた日本人社員のモチベーションが高まる
5.相互理解をベースにしたコミュニケーションが促進され働きやすい職場環境が作られる
雇用のデメリット
1.日本語習得度によっては意思疎通に時間がかかる
2.日本人であれば共有している価値観を生かせない
3.転職することがステップアップだと考える外国人が短期で退職していく
4.外国人と働くことに慣れない社員が退職していく
5.法令遵守や事務処理が煩雑になり人事部や管理職の負担が増える

 

外国人を雇用するために必要なこと

外国人を雇用するために入国管理法、労働関係法令、社会保険関係法令を理解し遵守することが大前提です。また煩雑な手続きを伴うため人事部や管理職はストレスフルになる傾向があります。しかし、「人こそが最大の資源」です。資源を有効に活用できるかどうかは個々の企業次第ですが、共通して言えることは外国人社員が活躍できる環境を用意できるかどうかです。労働環境だけではありません。就業規則、賃金規程、人事考課をカスタマイズする必要があります。また社内でのコミュニケーションや人材育成の方法によって成果は大きく異なります。外国人雇用は簡単ではありませんが、トップと管理職のリーダーシップによって業績の向上につなげることができます。

 

外国人のキャリア支援

日本ではキャリアコンサルティングを導入する企業が増えています。大手企業はキャリア支援を専門にした部署を設置し社員の人材育成に役立てています。中小企業ではキャリア支援を積極的に行っている企業は少ないのが現状です。しかし、中小企業においても社員の人材育成やキャリア支援を行うことは必要です。また、外国人を雇用した場合においても、日本人と同等にキャリア支援を行うことが望まれます。大手企業がキャリア支援に積極的である理由は、社員一人一人の能力を高めることができるからです。また、こうした取り組みが社員の定着率とも関係があり、働きやすい職場環境を作る効果が認められるからです。外国人の能力や定着率を高めるためにキャリアコンサルティングは有効です。外国人雇用専門のコンサルタントと共に社員が働きやすい環境を作っていきましょう。

 

 

 

 

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外国人の人事労務管理については外国人雇用に詳しい社会保険労務士がお答えします。就労ビザによって労務管理が異なります。専門家にお任せください。