豊かさとは何か?

富める者と貧しき者

ミャンマーはアジア最貧国と形容されてきた。

GDP等経済指標ではその通りなのかもしれないが、一方でとんでもなく豊かに暮らしている人もいる。

ヤンゴンの高級住宅街、緑がたくさんの広い庭に大きな家、ヨーロッパの高級車がズラリと並ぶ…そんなお宅にお邪魔したことがある。

広い応接間で話をしている間私はぼんやりと、経済指標からその国をラベリングすることは視野を狭めてしまうだろうと考えていた。

アジア最貧国とのラベルをつけてミャンマーを見てしまうと本当の姿を見誤ってしまう。

ミャンマーの8割以上が農業従事者だと聞く。

そのため郊外、山間部に行けば行くほど所得が低い世帯が増えていく。

これは昔の日本と同じ。

どこの国でも富める者と貧しき者が存在している。

そしてこの格差はとてつもなく大きい。

これだけ所得格差が大きいと暴動が起きてもおかしくないと思うのだが。

ミャンマーのジニ係数は分からないが、政府に対する抗議や暴動が起きるレベルに達しているのではないか心配してしまう。

しかも圧倒的大多数が農業従事者で貧困層なのである。

しかし、そうしたことは起きないそうだ。なぜなのか?

ミャンマーは美味しい!?

ミャンマーを見ながら日本のことを考えていると「豊かさとは何か」を思い出す。

私が中学・高校生のころ、国語の問題でかなりの頻度で登場していたのがこのテーマだったように思う。

物質的豊かさと精神的豊かさの二項対立で構成された文章だ。

それはいいとして、農業に従事している人たちは自分たちのことを貧しいと思っているのだろうか。

現状を改善してもっと豊かになりたいと思っているのだろうか。

直接伺ったことはないので分からない。

ヤンゴン市内を見て感じることは、食材がとても豊かだということだ。

市場では野菜や果物が山の様に積まれている。

屋台のような台車で豚の生肉が豪快に吊り下げられていたり、路上で魚が売られていたり。

衛生面のことはひとまず置いておくが、新鮮そうな食材に囲まれている。

レストランに行くと、ここでもたくさんの野菜が出てくる。

野菜好きの私にはとてもうれしいことだ。

辛くて脂っこい料理は苦手なのだが、不思議と気候風土に合っているような気がする。

食後に出てくる果物もとても美味しい。

市場でマンゴーとココナッツを買った(買ってもらった)。

ココナッツの果肉を初めて食べた。正直味はしない。

「うまいだろ?」って聞かれるのだがやっぱり味がない。

しかし、マンゴーはめちゃくちゃ美味しかった。

一気にミャンマー産マンゴーのファンになってしまった。

日本人が慣れているアップルマンゴーのような外観とは違い、ややくすんだ黄色をしていて美しいとはいえないがとても大きいのだ。

中身は普通のマンゴーに見える。

味はもちろん美味しい。

日本のデパートで売られているマンゴーに慣れた人からすると、わずかにクセのようなものを感じるかもしれない。

私はこれこそ野生のマンゴーの味ではないかと思う。

野生というか、甘味が研究開発されていない本来の味ではないかと。

自然の恵みと表現するといいのかもしれない。

値段は一つあたり1,500チャット、日本円で130円くらい。

日本人からすると、とんでもなく安い値段で美味しいマンゴーが食べられるのだ。

食べることには困っていない。

食べ物の豊富さを考えると、おそらく食べることには困っていないのだろうと思う。

人によっては現金収入が少ない人もいるかもしれない。

だからと言って他人から現金や所持品を奪ったりはしない。

現金がなくても死んでしまうことはないから。

食べ物だけはあるから。

困っていれば食べ物を分けてくれる人がいる。

お互い様の精神があるのだ。

誰かが誰かを助けてくれる。

敬虔な仏教徒たる由縁だろう。

「ミャンマーってどんな国なの?」でも書いたように、繁華街でも危険な感じがしないのは、食べることに困っていないからなのかもしれない。

日本であれば、現金収入がなければそれは死活問題に発展してしまう。

お金がないとシステム化された社会で生きていくことが難しい時代になっている。

日本で農業に従事している人は減少の一途だ。

自分も農業従事者ではない。

お金を使って食べ物を買わないと生きられない人なのだ。

ミャンマーで所得格差が発端となる暴動が起きないのは、食べ物がたくさんあるからではないか。

他の国はどうなのだろうか。

所得格差が大きくても食べ物がたくさんあれば暴動は起きていないのだろうか。

ミャンマー経済をお金で測ると貧しい国になってしまう。

しかし、ミャンマーには食べ物の豊かさ、食べることには困らない社会がある。

輸入しなくても、ありとあらゆる食材がある。

ミャンマーという国を食べ物という指標で測ると、もしかして世界トップクラスの豊かな国になるのではないだろうか。

マンゴーを貪りながらそう思った。

 

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この記事の執筆者
西ヶ谷紀之 【 国家資格キャリアコンサルタント・社会保険労務士・行政書士 】
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