外国人雇用を成功させるための秘訣3

外国人が定着するために

日本では、セルフ・キャリアドック制度のもと多くの企業がキャリアコンサルティングを導入した時期がありました。セルフ・キャリアドックとは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組みとそのための企業内の仕組みのことをいいます。

私は国家資格キャリアコンサルタント及び社会保険労務士として、企業のセルフ・キャリアドック制度の導入と実践に携わりましたのでよく知っています。従来の主な人材育成施策は、組織の視点に立った組織にとって必要なマインドやスキル、知識の獲得を目指すという観点から行われてきました。これに対して、セルフ・キャリアドックは、企業・組織の視点に加えて、従業員一人一人が主体性を発揮し、キャリア開発を実践することを重視・尊重する人材育成・支援を促進・実現する仕組みです。この仕組みでは、中長期的な視点で従業員一人一人が自己のキャリアビジョンを描き、その達成のために職業生活の節目での自己点検や実践に活用するプロセスを提供することになります。

セルフ・キャリアドックは厚生労働省が名付けたものですが、要は従来のキャリアカウンセリングに組織と個人の双方の視点を取り入れて再構築したものです。この制度を実施するにあたり、国家資格のキャリアコンサルタントが誕生しました。余談ですが、それまでキャリアコンサルタントという名称を名乗ることは自由だったのですが、これ以降資格を取得し登録せずにキャリアコンサルタントを名乗ることはできなくなりました。

外国人がキャリアコンサルティングを受けたら…

当初の制度設計として、キャリアコンサルティングを受けるのは日本人社員と考えられていました。しかし、外国人社員が入ってきた場合はどうしたらよいのでしょうか。私は外国人社員もキャリアコンサルティングを受けるべきだと考えています。いや、受けさせなければならないでしょう。日本人社員と外国人社員を国籍を理由に異なる取り扱いをすることは法令違反になりかねません(労働基準法第3条)。これは法令違反を避けるという消極的な理由ではなく、外国人もキャリアコンサルティングを受けることによってより充実した職業生活が送れるようになり、企業にとっても人材の定着等とても有効であるという積極的な理由があるからです。

もし、キャリアコンサルティングのような施策をせずに、盲目的に働いているとどうなるでしょうか。全ての外国人に当てはまる訳ではありませんが、やはりお金を得ることを最重要視して働いている人もいます。途上国から来た人であれば、賃金に高い意識が向くことは無理からぬものがあります。そのような人が、「自分の担当している業務は大変」なのに「給与が少ない」と感じていた場合、気持ちは徐々に退職へと傾いていくでしょう。人間関係やその他の労働環境に対する不満を抱えている場合には、退職して当然だと考えてサッと辞めていくでしょう。このことは、外国人だからという訳ではなく日本人であっても同じ行動を取る人はいます。給与の額を気にするのは当然のことです。少しでも高い給与が欲しいという気持ちは誰もが持っていると考えておかしくありません。ただ、給与だけに意識が向いてしまうような働き方をさせていると、納得できない場合には大きな不満要因となり企業側が好まない行動を取るようになっていくと予想されます。

上記のような社員を作り出してしまう原因は、そのような社員を作り出す労働環境にあると考えられます。でも、これは改善することができます。上記のケースでいえば、給与以外に高い意識を向けさせることができる事項があるか否かで結果は変わってきます。その社員と面談し、なぜ「自分の担当している業務は大変」と思ったのか理由を聞く必要があるでしょう。誰が考えても元々の業務量が多過ぎたのか、それとも適切な業務量であるものの当該業務に必要な能力が不足しているためにそう感じてしまうのか、当人だけではなく連携する社員や部署との関係に問題があるのか、本人から話を聞かないことには何も分かりません。でも理由が分かれば改善策を考えることができるようになります。

「給与が少ない」と感じている理由も知りたいところです。もしかしたら、私生活上でお金が必要になってしまっている状況がないとも限りません。私生活に踏み込む場合は躊躇するところですが、仮に借金を抱え始めていたとすると早期に対処する必要があります。放置することは問題を大きくしてしまいます。心に重しが乗った状態では気持ちよく働くことはできません。時にはそうした重しを取り除くことで改善することもあります。業務そのものが原因ではなく、私生活が原因で退職することになれば、本人にとっても企業にとっても残念なことです。社内の人に話し辛い場合には、社外の人に話すことで問題が解決することもあります。そんなときにキャリアコンサルタントを有効に活用してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の執筆者
西ヶ谷紀之 【 国家資格キャリアコンサルタント・社会保険労務士・行政書士 】
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